みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

抗菌薬のPK/PDのまとめ 覚え方

PKとPDは類似した用語ですが,反対の意味です.

  • Pharmacokinetics (PK) : 体が薬に与える影響 → 薬物の吸収・分布・排泄を解析する.
  • Pharmacodynamics (PD) : 薬が体に与える影響 → 薬物の副作用や薬効を解析する.

抗菌薬のPK/PDをまとめました.

  • 時間依存性
    • 血液中の濃度がある値を超えるとその作用が頭打ち.
    • 最小発育阻止濃度 (MIC) 以上の濃度を維持する.
    • 一日の投与回数は多い方がいい
  • 濃度依存性
    • 血液中の薬物濃度が高ければ高いほど強い殺菌作用
    • 副作用が出ない範囲で一回の投与量を最大にする
    • 投与回数は少ない方がいい
  • post-antibiotic effect (PAE)
    • MICの値より低い濃度になっても抗菌薬の作用が持続する作用
    • グラム陽性菌に対してはPAEある
    • グラム陰性菌に対してはない
    • 濃度依存性の抗菌薬はある

したがって,以下の3つに分類できます.具体的な抗菌薬もまとめます.

  • 濃度依存性 +PAE : アミノグリコシド系,キノロン系
  • 時間依存性 +PAE : クラリスロマイシン,テトラサイクリン系,バンコマイシン
  • 時間依存性 -PAE: ペニシリン系,セフェム系,カルバペネム系

覚え方は,

濃度依存性→「の」依存性→「の」を含む.→ アミグリコシド系,キロン系

このゴロ合わせで瞬殺な医師国家試験の過去問を見てみましょう.

104G2

薬物動態と薬力学理論とを考慮して抗菌薬を使う場合,1日投与総量を同じにした際,分割投与よりも単回投与が治療効果をあげるのはどれか.

a キノロン系薬

b ペニシリン系薬

c カルバペネム系薬

d セファロスポリン系薬

e テトラサイクリン系薬

「の」がついている「a キノロン系薬」が答えとなります.