みーの医学

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腎生検 PAS染色・PAM染色・HE染色の違い

糸球体腎炎の組織像には,PAS染色・PAM染色・HE染色と3つの染色法があってややこしいですが,原則は以下のようになっています.

  • PAS染色 : メサンギウム基質を見る
  • PAM染色 : 膜を見る
  • HE染色 : 核を見る

これのゴロ合わせは,

メサ(Mesa → S → PAS)ンギウム基質
膜(Membrane → M → PAM)

では,疾患を順に見て行きましょう.糸球体腎炎は以下のように分類します.

  • 急性糸球体症候群
    • 溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)
  • 急速進行性腎炎症候群
    • 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)
  • 慢性糸球体腎炎
    • IgA腎症
  • ネフローゼ症候群
    • 微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)
    • 巣状分節性糸球硬化症(FSGS)
    • 膜性糸球体腎炎(MN)
    • 膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)

溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)

富核なので,核を見ます.HE染色で観察します.

f:id:atsuhiro-me:20151123002607j:plain:w300, 96D36A

急速進行性糸球体腎炎(RPGN)

管外増殖性病変で,半月体形成するので,メサンギウム基質をみます.PAS染色で観察します.

f:id:atsuhiro-me:20151123002629j:plain:w300 PAS, 99A35

IgA腎症

メサンギウム領域にIgAが沈着するので.メサンギウム基質をみます.PAS染色で観察します.

f:id:atsuhiro-me:20151123002649j:plain:w300 PAS, 105A46A

微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)

光学顕微鏡では正常ですが,電子顕微鏡では足突起の癒合が見られるので,電子顕微鏡で観察します.

f:id:atsuhiro-me:20151123002713j:plain:w300 PAS

f:id:atsuhiro-me:20151123002730j:plain:w300 電子顕微鏡, 100A38B

巣状分節性糸球硬化症(FSGS)

巣状分節性の硬化病変を来すので,PAS染色で観察します.

f:id:atsuhiro-me:20151123002758j:plain:w300 100F40A

膜性糸球体腎炎(MN)

基底膜でスパイク形成が見られるので,膜を見ます.PAM染色で観察します.

f:id:atsuhiro-me:20151123002818j:plain:w300 PAM, 106D21A

膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)

基底膜の二重化が見られるので,膜を見ます.PAM染色で観察します.

f:id:atsuhiro-me:20151123002847j:plain:w300 PAS

f:id:atsuhiro-me:20151123002854j:plain:w300 PAM, 103A42B

こうやって整理すると,系統的な分類であるようにおもいます.