みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

U/L, IU/L の定義と読み方

臨床検査の結果を見ると,

AST 13 IU/L, ALT 16 IU/L, ALT 12 IU/L, LDH 255 IU/L

のように,IU/L という単位を見かけます.時々,IUではなく,U/L となっている場合もあります.

国際単位 IU とは

酵素活性の単位です.至適条件で酵素が1分間に 1 μmol (10-6mol) の基質を変換することができる酵素の量が 1 単位 と定義されています.大まかには,酵素の量を表すのだと理解すれば問題ないです.

量を表すのならば,g (グラム) を用いればよいと思われますが,一般的に酵素の質量を計算するのは非常に難しく,水溶液の場合濃度が非常に薄いことが多いです.酵素の質量を簡単に正確に測定することは難しいわけです.そもそも酵素とは,基質が生成物に変化する化学反応を触媒するものです.酵素の量に対して基質の量が十分にある場合,基質の変化量は酵素の量に比例します*1.基質の量の変化を測定することで,間接的に酵素の量を測定しようという発想で生まれた単位です.

国際単位の英語 International Unit の頭文字を取って IU です.これを用いて濃度にすれば,IU/L となります.

つまり,質量を測定するのが難しい少量の酵素の量を表す単位が IU というわけです.

ユニット U とは

上記の方法では,測定条件によって値が変化するという問題があります.施設が異なるだけで単純に検査値を比較できないのは不便です.そこで,日本臨床化学会 (JSCC) や 国際臨床化学連合 (IFCC) のような団体により測定条件などが標準化されました.

この方法で測定された場合は,IU ではなく U を用います.また,異なる施設の結果でも比較ができるようになります.ただし,ALPのように,JSCC法とIFCC法で測定値が3倍異なる検査項目もありますので,U だから全ての施設の測定値が比較可能とは限りません*2.他施設の検査結果を利用するときは測定方法を確認するべきです.

まとめ

U/L, IU/L の使い分けは,自施設で採用されている測定方法によって異なるので,臨床検査科に聞いてみるのが確実です.