みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

腸間膜と,受動(じゅどう)術

腸間膜のある消化管はどこかを覚えるには,以下のように理解するのがよい.

まず,腸間膜がある消化管は,胃,空腸,回腸,横行結腸,S状結腸である.

裏を返せば,十二指腸を除いた胃と小腸には腸間膜があるのだが,これは十二指腸は後腹膜臓器に入るために腸間膜がないためである.

結腸は上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸に分かれ,横行結腸とS状結腸だけが腸間膜を持ち,比較的自由に動くことができる.対して上行結腸と下行結腸は腸間膜を持たず,変わりに後面が後壁にくっついている.結腸はどうやって体に固定されているかを考えるのだが,上行結腸と下行結腸がもし自由に動けるとすると,上行結腸や下行結腸は上部でぶらさがることになるため,よろしくないのである.横行結腸は自由に動けるため左右の端を支える必要があり,肝湾曲(=右の端)と脾湾曲(=左の端)は肋骨弓に密着している.

手術の時に大腸を操作する必要がある場合,上行結腸と下行結腸が固定されているのを剥がして自由に動くようにする.これを受動(じゅどう)術という.