手術室には,気体を供給するための配管やボンベが数多く設置されており,気体の種類を色で区別している.
配管の色は以下のようになっている.常識的にボンベの色も同じにするべきだとは思うが,現実はそうではない.ボンベの色も以下に併記する.
配管の最後が吸引なのに対し,ボンベの最後が二酸化炭素になっているのに注意する.吸引するボンベなんて作るぐらいならアスピレーターがあるし,二酸化炭素を供給するためのボンベなんて医療現場に用意しても,患者を窒息させてしまって害でしかない.と常識で考えれば分かる.
これらを覚えなければならないので,みーが作ったゴロ合わせというか覚え方を以下に示す.
配管
- 吸引するのはブラックホール.→黒色.
- 植物は酸素を出すので,緑色.
- 空気色→黄色
- 窒素は反応しない→灰色
- 笑気を吸いすぎて顔が青ざめる→青色
ボンベ
- ボンベを酸素で燃やすと焦げる→黒色
- 植物は二酸化炭素を取り込む→緑色
- その他は灰色
患者に酸素を投与するぞとなったら,ボンベで酸素を燃やして焦げるのを思い出しながら,黒いボンベを用意するというわけだ.
そもそもなんで配管とボンベの色が違うのか?と腹が立つのだが,これは定める法律が異なるのが理由である.ボンベの色は,高圧ガス保安法の容器保安規則 第十条 [http://law.e-gov.go.jp/]で定められているのに対し,配管の色は,医療ガス配管設備(JIS T7101 の 9.5.2.1) [http://kikakurui.com/t7/T7101-2014-01.html]によって定められているからである.これらを作成した人が足並みを揃えてくれれば楽だったのだが,今から統一するとなると更にややこしくなるわけで,現状維持ということなのだろう.
以下,法律の該当部分を引用する.
容器保安規則 (ボンベの規定)
第十条 法第四十六条第一項 の規定により表示をしようとする者(当該容器を譲渡することがあらかじめ明らかな場合における容器の製造又は輸入をした者を除く。)は、次の各号に掲げるところに従つて行わなければならない。\ 一 次の表の上欄に掲げる高圧ガスの種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる塗色をその容器の外面(断熱材で被覆してある容器にあつては、その断熱材の外面。次号及び第三号において同じ。)の見やすい箇所に、容器の表面積の二分の一以上について行うものとする。ただし、同表中で規定する水素ガスを充てんする容器のうち圧縮水素自動車燃料装置用容器及び国際圧縮水素自動車燃料装置用容器並びにその他の種類の高圧ガスを充てんする容器のうち着色加工していないアルミニウム製、アルミニウム合金製及びステンレス鋼製の容器、液化石油ガスを充てんするための容器並びに圧縮天然ガス自動車燃料装置用容器にあつては、この限りでない。
- 高圧ガスの種類 塗色の区分
- 酸素ガス 黒色
- 水素ガス 赤色
- 液化炭酸ガス 緑色
- 液化アンモニア 白色
- 液化塩素 黄色
- アセチレンガス かつ色
- その他の種類の高圧ガス ねずみ色
二 容器の外面に次に掲げる事項を明示するものとする。\ イ 充てんすることができる高圧ガスの名称\ ロ 充てんすることができる高圧ガスが可燃性ガス及び毒性ガスの場合にあつては、当該高圧ガスの性質を示す文字(可燃性ガスにあつては「燃」、毒性ガスにあつては「毒」)\ 三 容器の外面に容器の所有者(当該容器の管理業務を委託している場合にあつては容器の所有者又は当該管理業務受託者)の氏名又は名称、住所及び電話番号(以下この条において「氏名等」という。)を告示で定めるところに従つて明示するものとする。ただし、次のイ及びロに掲げる容器にあつてはこの限りでない。\ イ 液化石油ガス自動車燃料装置用容器、圧縮天然ガス自動車燃料装置用容器、圧縮水素自動車燃料装置用容器、国際圧縮水素自動車燃料装置用容器及び液化天然ガス自動車燃料装置用容器であつて、道路運送車両法第五十八条 に定める自動車検査証(以下単に「自動車検査証」という。)に記載されている所有者と容器の所有者が同一であるもの\ ロ 高圧ガス運送自動車用容器であつて、自動車検査証に記載されている所有者と容器の所有者が同一であるもの
医療ガス配管設備 (配管の規定)
9.5表示,識別色及び包装
9.5.1 表示
9.5.1.1 配管端末器,アダプタプラグ及びそれらのガス別特定の部品には,見やすい箇所に容易に消えない方法で表 6 に示すガス名及び/又は記号を表示しなければならない。表示の耐久試験については 9.4.10 による。
9.5.1.2 文字の高さは,少なくとも 2.5 mm でなければならない。
9.5.1.3 配管端末器及びアダプタプラグには,トレーサビリティがとれる手段として,製造業者名又は製造業者の識別表示がなければならない。形式,製造バッチ,連番号,製造年などが表示されていることが望ましい。
9.5.2 識別色
9.5.2.1 識別色は,表 6 による。
9.5.2.2 識別色は,耐久性がなければならない。識別色の耐久試験については,9.4.10 に示す。