水道管工事など密閉された空間での作業前は酸素濃度の測定を行うことが定められていますが,これは酸素欠乏が深刻な症状や二次災害を引き起こすからです.酸素欠乏症についてまとめてみます.
定義
大気中の酸素濃度は21%です.
酸素欠乏は「酸素欠乏症等防止規則 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-35-1-0.htm 」に酸素濃度が18%未満であると定められています.
また,同規則にて,作業の際の酸素濃度の測定が定められています.
事業者は、令第二十一条第九号に掲げる作業場について、その日の作業を開始する前に、当該作 業場における空気中の酸素(第二種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあつては、酸素及び硫化水素)の 濃度を測定しなければならない。 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-35-2-0.htm より
発生メカニズム
酸素濃度の低下は,密閉空間にて以下の条件が加わることで起こります.
- 酸素を消費するものが存在する(植物や微生物の呼吸,還元作用を有する鉄や有機物)
- 酸素を含まないガスが産生されている (メタンガスや二酸化炭素など)
好発場所として,船の倉庫,トンネル,下水道の配管,野菜倉庫(暗いところで野菜が呼吸する),鉄くず倉庫などがあります.
症状
酸素濃度が18%では呼吸・脈拍の増加,頭痛,悪心,嘔気,めまいなどを呈し,10%を下回ると,即座に意識消失し数分で死亡します.
ゴロ合わせは,
酸欠は嫌.とうに意識消失.
酸欠は嫌(18%).とう(10%)に意識消失.
酸欠になるのは嫌で,既に意識消失しているという意味です.これで,法律上は18%未満で,10%以下で意識消失することが覚えられます.