食道癌の手術では食道切除術を行うが,この時に消化管を繋ぎ直さないといけない.この再建方法には現在3つの方法があり,胸壁前(胸骨前),胸骨後,後縦隔(胸腔内)を経由して消化管を再建する.
昔は胸壁前ルートが主流で,胸骨後がその後主流となり,現在は後縦隔ルートが普及しつつある.
方法が複数あるということはそれぞれにメリット・デメリットが存在するわけで,以下のようにまとめられる.
- 胸壁前:縫合不全の際に容易にドレナージできる.美容的に悪い.距離が長く血行不良や縫合不全を起こしやすい.
- 胸骨後:上と下の間.
- 後縦隔:生理的な経路であるし,最短距離なため縫合不全を起こしにくい.縫合不全が起こると致命的な膿胸に至る.
つまり,リスクが低いけどイマイチな胸壁前ルートと,リスクが高いけどいい感じな後縦隔ルートを理解し,その間の胸骨後ルートはその中間的な手法なわけである.