みーは血液内科医 (みーの医学)

2016年3月に110回医師国家試験に合格し,初期研修を終え,現在は血液内科医として働いています.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboを開発しています.

亡くなる直前に蘇生行為をしないでほしい

先日の当直のときの話です.

70歳男性,肺癌 stage Ⅳ,脳転移,腹膜播種あり.3日前から呼吸が苦しくて食事ができないので家族が救急要請しました.来院時,酸素をリザーバー10L/分で投与されており,SpO2 測定不能,頸動脈を僅かに触れましたが,血圧測定不能,心拍数は120/分だったのが徐々に徐脈になり,50/分でした.

状況からは1日も経たないうちに亡くなると思われたので,付添の妻に蘇生行為を行うかなど方針を確認したところ,「主治医からはそのような話はなかったし考えたこともない」とお返事がありました.

かなり厳しい状況であることを説明したところ,「本人をこれ以上傷つけないで欲しい」という希望であったため,胸骨圧迫など一連の蘇生行為は行わない方針となりました.

5分後には心拍数が30/分まで低下したため,急いで家族を呼び入れ,最期の言葉を交わしてもらい,その2分後に心肺停止,死亡確認しました.

お亡くなりになるときに家族が付き添えたので,結果的にはスムーズに物事が運んだのでよかったのですが,今までで一番余裕がない看取りとなり,かなり緊張しました.

アドバンス・ケア・プランニング (ACP)という言葉があります.

患者さん本人と家族が医療者や介護提供者などと一緒に、現在の病気だけでなく、意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ、終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うことや、意思決定が出来なくなったときに備えて、本人に代わって意思決定をする人を決めておくプロセスを意味しています。*1

肺癌 stage Ⅳ ならば,主治医がACPを進めて欲しかったなと,愚痴の記事を書きました.