104F17 芥川龍之介著「歯車」の一部を以下に示す.
のみならず僕の視野のうちに妙なものを見つけ出した.妙なものを?―と云うのは絶えずまわっている半透明の歯車だった.僕はこう云う経験を前にも何度か持ち合わせていた.歯車は次第に数を殖やし,半ば僕の視野を塞いでしまう,が,それも長いことではない,暫らくの後には消え失せる代わりに今度は頭痛を感じはじめる,―それはいつも同じことだった.
「僕」の症状から最も考えられる疾患はどれか.
a 緑内障
b 片頭痛
c 脳内出血
d 緊張型頭痛
e 慢性硬膜下血腫
半透明の歯車,歯車は次第に数を殖やし,半ば僕の視野を塞いでしまうことから,視覚性の前兆を表しているのだと考えられます.
暫らくの後には消え失せる代わりに今度は頭痛を感じはじめることから,前兆に引き続く頭痛を考えます.
したがって,前兆のある片頭痛が最も考えられます.
表現力がある患者さんは病気の特徴をよく捉えるので,症状をイメージするのに非常に参考になりますね.