みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

脳死の判定基準のまとめ

脳死の判定基準にはいくつか項目があるので,ゴロ合わせで覚えるのがよさそうです.

脳死の判定基準

  • 深昏睡
    • JCS 300 or GCS 3 = 顔面への疼痛刺激で顔をしかめない
  • 瞳孔散大固定
    • 両側4mm以上で固定
  • 脳幹反射の消失
  • 平坦脳波
    • 刺激を加えても最低4導出で30分以上平坦
  • 自発呼吸の消失

ゴロ合わせは,

塀の事故で脳死した農家の新婚さんだ.

塀の(平坦脳波)事故(自発呼吸)で脳死した農家(脳幹反射)の新婚(深昏睡)さんだ(瞳孔散大).

とある農家の新婚が,塀から落ちて脳死した様子をイメージします.

脳幹反射

脳幹反射は,以下の7つの反射のことです.

  • 対光反射
  • 角膜反射
  • 毛様体脊髄反射
  • 眼球頭反射
  • 前庭反射
  • 咽頭反射
  • 咳嗽反射

ゴロ合わせは,

脳幹反射を書くメモを前に載せた

書く(角膜)メ(眼球頭)モ(毛様体)を前(前庭)に載(のど=咽頭)せ(咳嗽)た(対光)

脳幹反射の7つの反射を書くためのメモを机の前に置いた様子をイメージします.

自発呼吸の消失

自発呼吸の消失に関しては,無呼吸テスト(100%酸素で飽和したのち呼吸器を外し,動脈血中二酸化炭素分圧が60 mmHg以上に上昇することを確認す)を行う.脳に影響を与えるため,必ず最後に実施する.

脳死判定

脳死判定は,上記の判定を2名以上の医師で2回行います.死亡時刻は,医師が死亡を確認した時刻のことなので,2回目の脳死判定時刻を死亡時刻とします.

除外条件

上記の脳死判定では,例えばバルビツレートによる中枢抑制の状態を区別することができないため,以下の除外条件が存在します.これらの条件の場合はそもそも脳死判定をしない,ということです.

  • 生後12週未満
  • 急性薬物中毒
  • 低体温 (直腸温 <32℃(成人), <35℃(6歳未満))
  • 代謝・内分泌障害
  • 妊産婦
  • 完全両側顔面神経麻痺
  • 自発運動、除脳硬直、除皮質硬直、痙攣が認められる

これらは考えれば当たり前だと思います.

脳死の死亡時刻

法的脳死判定における観察時間は以下のように定められています.

第1回目の脳死判定が終了した時点から6時間以上を経過した時点で第2回目の脳死判定を開始する.なお原因経過を勘案して必要な場合は更に観察時間を延長する.*1

死亡時刻は以下のように定められています.

「臓器の移植に関する法律」の規定に基づき脳死判定を行った場合脳死した者の死亡時刻は第2回目の検査終了時となります.したがって死亡した年月日及び時分は脳死判定に係る検査の第2回目の検査終了時刻を記入します.*2

つまり,第2回目の脳死判定検査終了時刻が死亡時刻となるわけです.

この定義は,

診察時,すでに死亡していたと考えた場合は,「患者が死亡した」と推定した時刻が「死亡したとき」となる.

診察時には生存していたと考えた場合は,その後に「患者が死亡した」と判断したときをもって「死亡したとき」とする.*3

の後半に該当することを理解すれば分かりやすい.

*1:http://www.jotnw.or.jp/jotnw/law_manual/law5.html

*2:平成25年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/

*3:日本法医学学会「死体検案マニュアル」より