脳死の判定基準にはいくつか項目があるので,ゴロ合わせで覚えるのがよさそうです.
脳死の判定基準
- 深昏睡
- JCS 300 or GCS 3 = 顔面への疼痛刺激で顔をしかめない
- 瞳孔散大固定
- 両側4mm以上で固定
- 脳幹反射の消失
- 平坦脳波
- 刺激を加えても最低4導出で30分以上平坦
- 自発呼吸の消失
ゴロ合わせは,
塀の事故で脳死した農家の新婚さんだ.
塀の(平坦脳波)事故(自発呼吸)で脳死した農家(脳幹反射)の新婚(深昏睡)さんだ(瞳孔散大).
とある農家の新婚が,塀から落ちて脳死した様子をイメージします.
脳幹反射
脳幹反射は,以下の7つの反射のことです.
- 対光反射
- 角膜反射
- 毛様体脊髄反射
- 眼球頭反射
- 前庭反射
- 咽頭反射
- 咳嗽反射
ゴロ合わせは,
脳幹反射を書くメモを前に載せた
書く(角膜)メ(眼球頭)モ(毛様体)を前(前庭)に載(のど=咽頭)せ(咳嗽)た(対光)
脳幹反射の7つの反射を書くためのメモを机の前に置いた様子をイメージします.
自発呼吸の消失
自発呼吸の消失に関しては,無呼吸テスト(100%酸素で飽和したのち呼吸器を外し,動脈血中二酸化炭素分圧が60 mmHg以上に上昇することを確認す)を行う.脳に影響を与えるため,必ず最後に実施する.
脳死判定
脳死判定は,上記の判定を2名以上の医師で2回行います.死亡時刻は,医師が死亡を確認した時刻のことなので,2回目の脳死判定時刻を死亡時刻とします.
除外条件
上記の脳死判定では,例えばバルビツレートによる中枢抑制の状態を区別することができないため,以下の除外条件が存在します.これらの条件の場合はそもそも脳死判定をしない,ということです.
- 生後12週未満
- 急性薬物中毒
- 低体温 (直腸温 <32℃(成人), <35℃(6歳未満))
- 代謝・内分泌障害
- 妊産婦
- 完全両側顔面神経麻痺
- 自発運動、除脳硬直、除皮質硬直、痙攣が認められる
これらは考えれば当たり前だと思います.
脳死の死亡時刻
法的脳死判定における観察時間は以下のように定められています.
第1回目の脳死判定が終了した時点から6時間以上を経過した時点で第2回目の脳死判定を開始する.なお原因経過を勘案して必要な場合は更に観察時間を延長する.*1
死亡時刻は以下のように定められています.
「臓器の移植に関する法律」の規定に基づき脳死判定を行った場合脳死した者の死亡時刻は第2回目の検査終了時となります.したがって死亡した年月日及び時分は脳死判定に係る検査の第2回目の検査終了時刻を記入します.*2
つまり,第2回目の脳死判定検査終了時刻が死亡時刻となるわけです.
この定義は,
診察時,すでに死亡していたと考えた場合は,「患者が死亡した」と推定した時刻が「死亡したとき」となる.
診察時には生存していたと考えた場合は,その後に「患者が死亡した」と判断したときをもって「死亡したとき」とする.*3
の後半に該当することを理解すれば分かりやすい.
*1:http://www.jotnw.or.jp/jotnw/law_manual/law5.html
*2:平成25年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/
*3:日本法医学学会「死体検案マニュアル」より