CFU, EU はともに生物学的汚染の程度を表す単位です.
生菌数
培地の上に菌をまいて,コロニーが何個できたかを数えれば,生菌数が分かります.コロニーの個数を colony forming units ,頭文字をとって CFU と記載します.
溶液の中の生菌数を測定する場合は,溶液の量が重要になりますので,単位は CFU/mL を用います.
エンドトキシン
エンドトキシンとは,グラム陰性細菌の細胞壁に存在するリポ多糖 (LPS) のことです.内毒素ともいいます.菌が死んでもエンドトキシンの活性は残るため,注意が必要です.エンドトキシンが血中に入ると,炎症性サイトカインにより発熱を引き起こすなどの症状が出ます.
エンドトキシンの単位は pg/mL ですが,EU/mL を用いる場合もあります.測定方法にもよりますが,1 EU = 0.1 から 0.2 ng 相当です*1.昔は pg の質量を測定するのは困難だったので, EU を用いて活性を測定していましたが,現在は技術が進歩し,エンドトキシンの質量を測定できるようになりました.
次に,CFU と EU が用いられる例をみてみましょう.
透析における生物学的汚染
透析では,人工物の回路の中に患者さんの血液を長時間通すので,使用する物質の生菌数やエンドトキシンを厳密に測定して管理する必要があります.透析用水や透析液などではエンドトキシン値に基準が設けられています.
1‒1.生物学的汚染基準の到達点 *2
・透析用水
生菌数 100 CFU/mL 未満
ET 0.050 EU/mL 未満
・標準透析液(standard dialysis fluid)
生菌数 100 CFU/mL 未満
ET 0.050 EU/mL 未満
・超純粋透析液(ultra‒pure dialysis fluid)
生菌数 0.1 CFU/mL 未満
ET 0.001 EU/mL 未満(測定感度未満)
エンドトキシンは菌が死んでも活性が残るため,生菌数とは別に測定しなければなりません.このように,生物学的汚染はさまざまな原因物質を考慮する必要があるので,複数の項目にわたって評価する必要があります.
*1:細胞培養に関するよくある質問:細菌エンドトキシンによる汚染
*2:2016 年版 透析液水質基準