みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

風疹と麻疹と流行性耳下腺炎を整理する

  • 麻疹(はしか measles)
  • 風疹(ふうしん,三日ばしか rubella)
  • 流行性耳下腺炎 (おたふくかぜ,mumps)

この3つは非常にややこしいので整理しておく.漢字似ているし,英語も似ているし...

麻疹(はしか measles)

  • 麻疹ウイルスの感染
  • 空気感染and飛沫感染
  • 生後6ヶ月移行の小児に好発 (6ヶ月までは母体からのIgGにより罹患しない)
  • 上気道症状→白色粘膜疹(Koplic斑)→融合性発疹
  • 2相性の発熱
  • WBC↓ ツ反陰転

経過

  • 潜伏期 (約10日)
  • カタル期 (Koplik班,1相目の発熱)
  • 発疹期 (融合性発疹,2相目の発熱)
  • 回復期 (色素沈着,解熱後3日にて登校可能)

合併症

  • 亜急性硬化性全脳炎 SSPE
    • 1/100,000
    • 麻疹罹患後or麻疹ワクチン接種後5-6年で発症
    • 致命的
    • 知能低下
    • ミオクローヌス
    • 性格変化
    • 髄液の麻疹抗体価↑
  • 中耳炎
  • 麻疹後脳炎

MRワクチンにて予防.

風疹(ふうしん,三日ばしか Rubella)

  • 風疹ウイルス
  • 飛沫感染
  • 幼児学童に好発
  • 後頭部を中心とした頸部リンパ節腫脹
  • 発熱と同時に発疹
  • 2,3日で消退 (三日ばしかの由来)
  • 予後は良好

経過

  • 潜伏期 (14-21日)
  • 前駆期 (リンパ節腫脹出現,回復期まで続き,数週間)
  • 発疹期 (発疹,発熱)
  • 回復期 (発疹が消失すれば登校可能)

合併症

  • 急性脳炎
  • 関節炎
  • 特発性血小板減少性紫斑病 ITP

先天性風疹症候群 CRS

  • 妊娠中に母体が風疹に罹患することで経胎盤感染を起こす.
  • 3大症状
    • 白内障
    • 心奇形 (VSD, PDAなど)
    • 難聴
    • 小頭症
    • 血小板減少

ゴロ合わせは,

風疹の話,しようしよう

風疹のは(白内障)な(難聴)し(心疾患; VSD, PDAなど),しよう(小頭症)しよう(血小板減少)

流行性耳下腺炎 (おたふくかぜ,mumps)

  • ムンプスウイルスの感染
  • 飛沫感染and接触感染
  • 小児期に好発
  • 発熱
  • 両側性の耳下腺の腫脹と疼痛

経過

  • 潜伏期 (約2週間)
  • 耳下腺腫脹が両側性に進行,発熱 (7-10日)
  • 腫脹が消退したら登校可能

合併症

  • 無菌性髄膜炎 (10%最多)
  • 難聴 (まれ)
  • 膵炎 (まれ)
  • 卵巣炎 (成人女性,不妊の原因にはならない)
  • 精巣炎 (成人男性,30%,不妊の原因にはならない,疼痛)

ゴロ合わせ

オタクでもムズいのはナンセンス

オタク(おたかぜ)でもムズい(菌性膜炎)のはナン(聴)セン(巣炎)ス(炎).オタクでも解けない問題は意味が無い,の意味.

ちなみに以下のブログに,成人発症のおたふく風邪の記録がある.臨場感ある文章な上に,精巣炎と髄膜炎を合併しているので,イメージが湧きやすい.37歳・男おたふく風邪で七転八倒の記@俺のメモ [魚拓]

ワクチン

ワクチンは昔はMMR だったが今は MRワクチン.MRの"M"ってMeasles? Mumps? となるので,麻疹(Measles)と風疹(Rubella)であることをしっかりと覚えておく.はしかと三日ばしかなので,「はしかはまとめて」などと覚えればいいかな.

ちなみにMMRワクチンはMumpsワクチンの無菌性髄膜炎(上記合併症参照)の頻度が高かったために中止となった.この3つのワクチンはいずれも生ワクチンである.