みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

温湿布と冷湿布の選び方 (腰痛, 肩こり, ぎっくり腰)

腰痛, 肩こり, ぎっくり腰などによる痛みに対して,とりあえず湿布を貼る人は多いと思います.湿布には大きく,温湿布(温感湿布)と冷湿布(冷感湿布)の2つの種類があります.ここでは2つの湿布の選び方を紹介します.

結論から言うと,両方試しに貼ってみて,心地が良いと感じる方を貼ればよいです.医学的に大きな違いはありません

そもそも温湿布と冷湿布は何が違うのでしょうか.温湿布にはカプサイシンが含まれていて,皮膚は暖かさを感じ,皮膚の血行をよくします.冷湿布にはメントールが配合されて,ひんやりとした冷たさを感じます.重要なのは,実際に温めたり冷やしたりしているわけではなく,あくまでも皮膚が錯覚しているだけであるということです.温湿布も冷湿布も貼ると湿布に含まれる水分によって皮膚の温度は2-3℃低下します.

慢性的な腰痛や肩こりなどによる痛みに対しては,血流改善のために温湿布がよいと思われますが.血流を改善するよりもNSAIDなどの消炎鎮痛剤の方が痛みの改善には有効です.急性なぎっくり腰や外傷に対しては冷やしたほうが良いので冷湿布を貼るほうがよいと思うかもしれませんが,実際に冷やしているわけではないので,氷や水で患部を冷やすほうが合理的です.

急激な痛みがあるとすぐに病院にいくのは難しいかもしれませんが,できるだけ早く医療機関を受診しましょう.ぎっくり腰だと思ったら実は腰椎圧迫骨折という場合もあります.検査を受けて,医師に診断をしてもらいましょう.急性なぎっくり腰や外傷になった場合は湿布をするよりも氷や水で患部を冷やしてください.インドメタシンやロキソプロフェン(ロキソニン)などの消炎鎮痛剤が配合された湿布には,痛みを緩和させる作用があります.こういった成分が入っている湿布を使いましょう.

こういった措置を取ったうえで,それでも痛みが消えないけど,湿布を貼ると気持ちいいなら,貼ってもいいと思います.以上より,心地が良いと感じる方を貼ればよいという最初の結論になるわけです.