破傷風とは,破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する神経毒素であるtetanospasminによって,横紋筋の硬直や痙攣と自律神経機能障害を来す中毒性疾患である.
初発の症状は開口障害であることが多い.その後,嚥下困難,後弓反張,項部腹壁四肢近位筋の硬直が現れる.症状が進行するおと呼吸障害をきたして窒息死を招く.重症例では自律神経障害により,心停止で急死することもある.
映画
破傷風を扱った映画として,「震える舌」が有名である.1980年の映画なので,いろいろと昔の内容ではあるが,破傷風の経過が非常によく分かる映画である.
写真
下は,Charles Bell によって描かれた,破傷風に苦しむ兵士の絵である.背中の筋肉の硬直による後弓反張,上肢近位筋の硬直がよく分かる写真である.
(Wikipedia より)
次の写真は別の患者のもので,後弓反張が見られる.
(studyblue.com より)
次の写真は子供の患者で,開口障害と上肢の屈曲が見られ,痛みを訴えている.
(immunize.org より)
動画
次の動画は,犬の破傷風で,ヒトと同様の所見が見られる.
現在,破傷風はトキソイドの摂取によって予防が可能であるが,感染した場合は,破傷風菌に対してペニシリン系抗菌薬,抗毒素療法として破傷風ヒト免疫グロブリンの静注を行い,必要に応じて呼吸管理などの対症療法を併用しながら管理することで治療が可能になっている.