みーは血液内科医 (みーの医学)

2016年3月に110回医師国家試験に合格し,初期研修を終え,現在は血液内科医として働いています.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboを開発しています.

国家試験の重炭酸ナトリウム

重炭酸ナトリウムはアシドーシス補正に用いますが,国家試験においては積極的に選択しません.

アルカリ療法として,血清HCO3- > 8, かつ pH > 7.2 に到達するように重炭酸ナトリウムを投与します.推定必要投与量は 8 * [HCO3-] * wt * 0.5 で計算します.

つまり,重炭酸ナトリウムで補正しなければならないような代謝性アシドーシスとは,HCO3-が8を切ったり,pHが7.1以下であるようなかなり重症な場合なわけです.

国家試験レベルでは,重炭酸ナトリウムの適応は以下の2つの場合のみです.

  • TOF (ファロー四徴症) の anoxic spell 治療
  • RDS (新生児特発性呼吸窮迫症候群)

TOF の anoxic spellでは,嫌気呼吸による乳酸の蓄積のために代謝性アシドーシスになりますが,同時に多呼吸をきたします.この時に多呼吸抑制のためにO2投与やモルヒネ投与を行い,呼吸性代償がされなくなります.したがって代謝性アシドーシスの補正が必要になるのです.

RDS は,肺サーファクタントの欠乏によって新生児の肺胞が虚脱し,呼吸窮迫症状を来す疾患である.肺胞換気が十分に行われず,低O2血症,高CO2血症をきたし,呼吸性アシドーシスとなります.嫌気呼吸が行われて代謝性アシドーシスにもなります.治療としては人工肺サーファクタントの気管内投与,人工呼吸によるPEEPや高頻度振動換気をしながら,アシドーシス補正のために重炭酸ナトリウムを投与します.

どちらも,生体内の代償機構によってアシドーシスが補正できないような重篤な疾患なわです.