みーの友達が,国家試験の問題で同一の画像が違う疾患として使用されていることを発見したので,報告します.
本態性血小板血症と真性赤血球増加症の骨髄生検HE染色の画像が同一のものなのです.
101A33
42歳の女性.赤ら顔と頭重感とを主訴に来院した.3ヵ月前から家族に顔面と手掌とが赤いと言われていた.2週前から頭重感が出現し,時々ふらつき感も感じていた.既往歴・家族歴に特記すべきことはない.意識は清明.体温36.4℃.脈拍84/分,整.血圧158/92mmHg.顔面は紅潮.眼瞼結膜と口腔粘膜とは充血している.心音と呼吸音とに異常を認めない.左肋骨弓下に脾を1cm触知する.血液所見:赤血球720万,Hb 19.1g/dL,Ht 60%,白血球12,600(桿状核好中球5%,分葉核好中球62%,好酸球3%,好塩基球2%,単球5%,リンパ球23%),血小板126万.血清生化学所見:尿素窒素16mg/dL,尿酸8.6mg/dL,総ビリルビン0.8mg/dL,AST 40IU/L,ALT 32IU/L,LD 380IU/L(基準176~353),Na 138mEq/L,K 5.2mEq/L.骨髄生検H-E染色標本を次に示す.
治療として適切なのはどれか.2つ選べ.
a 脾摘術
b 瀉血療法
c 放射線治療
d 抗癌化学療法
e 抗血小板薬投与
診断は,真性赤血球増加症です.
103G39
65歳の男性.左上腹部の圧迫感を主訴に来院した.2ヵ月前から倦怠感があり,その後,徐々に食後の上腹部 膨満感が出現した.喫煙は30本/日を45年間.飲酒は日本酒3合/日を35年間.意識は清明.体温36.5℃.脈拍84/分,整.血圧162 /98mmHg.表在リンパ節は触知しない.心音と呼吸音とに異常を認めない.肝を触知せず,脾を左肋骨弓下に3cm触知する.下腿に浮腫を認めない.血 液所見:赤血球448万,Hb 14.6g/dL,Ht 43%,白血球12,400(桿状核好中球3%,分葉核好中球58%,好酸球2%,好塩基球3%,単球5%,リンパ球29%),血小板98万.血液生化学 所見:総蛋白7.0g/dL,アルブミン4.0g/dL,尿素窒素18mg/dL,クレアチニン1.0mg/dL,尿酸9.2mg/dL,総コレステロー ル120mg/dL,総ビリルビン1.0mg/dL,AST 32IU/L,ALT 38IU/L,LD 428IU/L(基準176~353),ALP 210IU/L(基準115~359).骨髄生検のH-E染色標本を次に示す.
脾腫の原因として考えられるのはどれか.
a アルコール摂取 2.0%
b うっ血 6.9%
c 感染 2.4%
d 腫瘍 85.6%
e 代謝異常 3.2%
診断は,本態性血小板血症です.
106A27
異常を指摘されたため来院した.1年前に脳梗塞の既往がある.心音と呼吸音とに異常を認めない.肝・脾を触知しない.血液所見:赤血球468万,Hb 13.9g/dL,Ht 42%,白血球12,300(桿状核好中球30%,分葉核好中球45%,好酸球1%,好塩基球1%,単球6%,リンパ球17%),血小板250万.骨髄検査では線維化を認めず,染色体は正常核型である.末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(A)と骨髄生検のH-E染色標本(B)とを次に示す.
診断として最も考えられるのはどれか.
a 骨髄線維症
b 慢性骨髄性白血病
c 骨髄異形成症候群
d 真性赤血球増加症
e 本態性血小板血症
診断は,本態性血小板血症です.
確認のためにそれぞれを鑑別します.
- 101回 : Hb 19.1g/dL, 白血球12,600, 血小板126万 → 真性赤血球増加症
- 103回 : Hb 14.6g/dL, 白血球12,400, 血小板98万 → 本態性血小板血症
- 106回 : Hb 13.9g/dL, 白血球12,300, 血小板250万 → 本態性血小板血症
分かりやすいように,3つの画像を並べてみます.
(順に101A33, 103G39, 106A27.)
よく見てください.101回で使われた真性赤血球増加症の画像が,103回と106回では本態性血小板血症の画像として示されています.しかも,101回の画像を180°反転したり,トリミングが違ったりしています!
症例が少ない疾患の場合,同じ画像を使うのは仕方がないことだとは思いますが,画像を180°反転させるのは重複を故意に隠そうとしている気がしますね.
というわけで,この画像をみたら,国試のレベルでは真性赤血球増加症か本態性血小板血症に決定です.