悪性リンパ腫に対してR-CHOP療法をしていた患者さんの白血球数が1000近くに低下してきたので,G-CSF製剤(=白血球数を増加させる薬剤)を投薬したところ,3日後に腰痛が出現しました.血が湧き上がるようにドクドクと拍動するような痛みとおっしゃっていました.
指導医に相談したところG-CSF製剤が原因ではないかとアドバイスを受け,添付文書を読んでみました.
好中球減少症の対象患者延べ7175例中935例(13.0%)に副作用(臨床検査値異常変動 を含む)が認められた。主な副作用は骨痛(胸部、腰部、骨盤部等)124件(1.7%)、発熱117件(1.6%)、腰痛108件(1.5%)、肝機能異常40件(0.6%)等であった。*1
どうやら,骨髄で造血が盛んになることで骨の痛みを来すことがあるそうです.筋肉を激しく使うと筋肉痛が起こるように,骨髄も激しく使うと骨痛が起こるのかもしれません.造血が盛んになった痛みを「血が湧き上がるようにドクドクと拍動する」と表現した患者さんの表現力に感動しました.
なお,白血球数が正常になった頃に,腰痛は自然に消失しました.
*1:グラン® 添付文書より引用