みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

治療法がない慢性疾患の外来診察の難しさ

とある日に,筋ジストロフィーの患者さんが過換気症候群になり来院しました.

筋ジストロフィーは徐々に筋力が低下する疾患で,根本的な治療法がなく,次第に歩行困難となり,重症ならば呼吸不全や心不全で死亡します.そのため,専門の病院で診察を受けても,今の状態を評価され,日々の生活のアドバイスだけで終わってしまうようです.そのような診察を受けることに全く意味を感じないため,最近はかかりつけの専門病院を受診していないとのことでした.

別の日に,脊柱の傍に腫瘍が指摘されているが増大しないため経過観察になっている人が同部位の疼痛を訴えて来院しました.

CT検査を行ったところ腫瘍の大きさは不変でしたが,脊柱の傍のため少し神経を圧迫しているような印象がありました.神経が刺激されて疼痛が出現したのだろうと考え,かかりつけの専門病院を受診するように勧めました.しかしながら,診察は年1回MRI検査を受けたあと外来で数時間待って,「大きさは変わらないので1年後にまた来院してください」という説明の繰り返しで,そのような診察を受けることに全く意味を感じないため,通院を中断しているとのことでした.

医者としては,疾患の増悪がないことを定期的に確認することが診察なのだと考えます.しかし患者さんにしてみれば,何もしてくれないと感じるのかもしれません.治療法がなかったり,経過観察でよい場合に外来でどこまで患者さんに寄り添ってあげられるかが,長期間の診察継続のために重要なのかもしれません.