みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

新型コロナウイルス感染症を身近に感じた症例

中国の深圳市から帰国した患者さんが,発熱を主訴に来院されました.

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「武漢で新型コロナウイルスが流行していますが,深圳はどうですか?」と質問したところ,「うちの隣のマンションの人で,新型コロナウイルス感染症と診断された人がいたらしいですが,直接は会っていません」というお返事でした.実際,深圳市での感染例が報告されています.

新型ウイルス肺炎 中国深センでも感染を確認 中国保健当局発表

2020年1月20日 5時12分

中国内陸部の湖北省武漢で新型のコロナウイルスによるとみられる肺炎が相次いでいる問題で、南部、広東省の保健当局は20日未明、新たに1人の感染が確認されたと発表しました。

中国の当局が武漢以外の場所で患者を確認したと発表したのは今回が初めてです。

感染が確認されたのは広東省深セン※に住む66歳の男性で、去年末に武漢に親戚を訪ねたあと発熱などの症状が出たということで、いまは隔離され、容体は安定しているということです。※セン(土偏に川) *1

保健所に対応を確認したところ,「武漢市への渡航歴がないようですので,新型コロナウイルス感染症の疑い例ではありません.通常の患者として対応してください」というお返事でした.実際,「新型コロナウイルス感染症に対する対応と院内感染対策」という文書には下記のように記載されています.

3. 新型コロナウイルス感染症の疑い例の定義

以下のⅠおよびⅡを満たす場合を「疑い例」とする。

Ⅰ 発熱(37.5 度以上)かつ呼吸器症状を有している。

Ⅱ 発症から 2 週間以内に、以下の(ア)、(イ)の曝露歴のいずれかを満たす。

(ア) 武漢市への渡航歴がある。

(イ) 「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」との接触歴がある。*2

武漢市以外にも感染が確認しているのに,武漢市の人だけを疑う方針では,日本での感染拡大は避けられないと思いました.