みーは血液内科医 (みーの医学)

2016年3月に110回医師国家試験に合格し,初期研修を終え,現在は血液内科医として働いています.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboを開発しています.

がん検診は過大評価されるロジック

日本における死因の1位が「がん」であるだけあって人間ドックや健康診断でがん検診が盛んに行われるようになってきています.がん検診ではがんを早期に発見することでがんの治療の効果を高めることができるとされています.\

しかしがん検診の有効性は過大評価されるという性質があるのです.

普通に考えるとがん検診の効果を調べるには検診によって発見されたがんの生存率が症例で発見されたがんの生存率よりも高いかどうかを調査すればよいのですがこの方法ではいくつかの問題があるのです.

1つ目の問題はlead time biasと呼ばれるものでがん検診に効果がないとしても症例が現れるよりも前にがんがあることが分かるため診断の開始が早まり(= lead time)がん検診によって発見されたがん患者の生存時間はより長くみえるのです.

2つ目に length biasというものがあります.成長速度の遅いがんの方が検診では発見されやすいので予後が良くなるのです.

self-selection biasという問題も知られています.検診を進んで受ける人は自分の健康に気を使っている人が多くしたがってがんも治りやすいということです.

最後の問題はoverdiagnosis bias です.がん検診でがんではないのにがんであると診断してしまうと当然がんでなければ長生きするわけですからがん検診の評価は高くなります.

以上の問題点を正しく補正しないとがん検診の本当の効果は判断できないのです. 例えば前立腺がんのがん検診であるPSA検査は有名ですが推奨されていません.

Screening for Prostate Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement

The USPSTF recommends against prostate-specific antigen (PSA)–based screening for prostate cancer (grade D recommendation).

http://annals.org/article.aspx?articleid=1216568

もちろんがん検診を全否定するわけではありませんがこのような問題があることを知った上でがん検診を利用したいですね.