クールボアジェ徴候 (Courvoisier sign) とは,3管合流部より下流の胆管閉鎖により,胆嚢内に胆汁が蓄積し,無痛性の胆嚢腫大が起こることです.腹部触診をすると腫大した胆嚢を触知しますが,患者さんは痛みを訴えません.
下流の胆管が閉鎖する,総胆管癌,乳頭部癌,膵頭部癌に見られます.
逆に,上流の胆管が閉塞する胆嚢癌や肝門部or肝内胆管癌ではクールボアジェ徴候は陰性ですし,胆管閉塞が起こらない膵体尾部癌でも陰性です.
結局のところ,胆嚢に胆汁が溜まるかどうかを想像するだけです.
CTで見るとさらに分かりやすいです.クールボアジェ徴候について熱弁している論文*1に,下部胆管癌によって黄疸を呈している患者さんの腹部造影CTが示されていたので紹介します.
(Fig.2 より引用)
矢印で示されている部分は,拡張した肝内胆管で,矢印の頭で示されている部分は,拡張した胆管です.(GB)は著明に拡大した胆嚢です.辺縁は整で,肝臓に沿っています.
見た目でも,腹部触診で触れそうですが,痛くはなさそうな感じがします.
*1:Fitzgerald JE, White MJ, Lobo DN. Courvoisier's gallbladder: law or sign? World J Surg. 2009 Apr;33(4):886-91. doi: 10.1007/s00268-008-9908-y. PubMed PMID: 19190960. http://dx.doi.org/10.1007/s00268-008-9908-y