大動脈解離とは,中膜が剥離し,偽腔に血流が存在する病態のことです.
造影CT検査を行い,上行大動脈が解離しているとStanford A型,していなければStanford B型と分類し,治療方針が大きく異なります.
Stanford A型
上行大動脈が解離していき心臓まで波及すると心タンポナーデや出血性ショックをきたして大変なことになるので,Bentall手術(ベントール手術)という緊急手術を行います.
Bentall手術は,大動脈基部拡張症に対する大動脈基部置換手術です.具体的には,
- 大動脈弁置換術 (人工弁)
- 上行大動脈置換術 (人工血管)
- 左右冠動脈バイパス (人工血管に冠動脈入口部をつなぐ)
の3つを行います.つまり,大動脈基部にあるものすべてを人工物とするわけです.
Bentall → Benとall → 弁とすべて → 大動脈基部にあるものすべてを人工物
と覚えます.
Stanford B型
上行大動脈が解離していないので,,降圧療法にて内科的に管理します.
具体的には,
- 血管拡張薬 (Ca拮抗薬,硝酸薬など)の持続静注にて降圧
- β遮断薬にて脈拍コントロール
- 疼痛緩和のためにモルヒネ
を行います.