医師にはいろいろと届け出義務があるので,期間別に整理してみました.
直ちに報告するもの
1-4類感染症の診察後
1類から4類感染症と5類感染症の一部と新型インフルエンザ等と新感染症 → 直ちに 氏名、年齢、性別 を 最寄りの保健所長を経由して都道府県知事へ届け出る.周囲への感染防止の措置を講じるために都道府県単位で管理をするため.疾患数が少ないので,患者単位の対策が必要なので,患者の氏名が必要である.
食中毒の診察後
直ちに最寄りの保健所長に届け出る.更なる食中毒患者を出さないように措置を講じるために,保健所が調査を行う.
すみやかに報告する
麻薬中毒の診察後
すみやかに,その者の氏名、住所、年齢、性別を,その者の居住地の都道府県知事に届け出る.中毒者を適切に把握し措置を講じるために,住所などの個人情報が必要であり,都道府県単位で対策を行う.
なお,覚せい剤は,届け出義務はないが,官吏・公吏(国公立大学病院の医師など)は通報義務がある.
24時間以内に報告する
異状死体(死産児)の検案後
24時間以内に所轄警察署に届け出る.警察に届け出るのはこの時だけ.
7日以内に報告する
5類感染症の一部の診察後
5類感染症の全数把握疾患→7日以内に患者の年齢と性別を最寄の保健所長を経て知事に届け出る.患者数が多いので,地域単位での対策が必要であるため,患者氏名は不要である.
10日以内に報告する
診療所の開設後
診療所の開設後10日以内に都道府県知事に届け出る.医療計画に沿って調整を行う必要があるため,都道府県知事に届け出る.ただし,病院の開設は都道府県知事の許可が必要である.ちなみに病院,診療所の廃止の場合も10日以内に都道府県知事に届け出る.
翌月の10日まで
不妊手術と人工妊娠中絶後
実施した不妊手術と人工妊娠中絶を取りまとめたうえで,翌月の10日までに理由とともに都道府県知事に届け出る.
ゴロ合わせ
上記を覚えるためのゴロ合わせを作りました.少し長いです.
フタした異常な缶がとうとう開いた. タダで完食した住人をマーク済み.
フタし(24)た異常(異状死)な(7)缶(感染)がとうとう(10)開いた(開設). タダ(直ちに)で完(感染)食(食中毒)した住(10)人(妊娠)をマーク(麻薬)済み(すみやかに)
- 24時間 - 異状死
- 7日 - 一部の5類感染症
- 10日 - 診療所開設
- 直ちに - 1-4類感染,食中毒
- 10日まで - 不妊手術,人工妊娠中絶
- すみやかに - 麻薬
あるレストランで,蓋をしたまま開かなくなってしまった異常な缶がついに開いたので,近くの住人に提供したところ,お金を払わずに完食して帰ってしまったので,次回来た時にお金を請求できるようマークをした,という意味です.
根拠となる法令
感染症法 *1
(医師の届出)第十二条 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
一 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者
二 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)
2 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内に当該届出の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
3 都道府県知事は、その管轄する区域外に居住する者について第一項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、その者の居住地を管轄する都道府県知事に通報しなければならない。
4 厚生労働省令で定める慢性の感染症の患者を治療する医師は、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、その患者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
5 第二項及び第三項の規定は、前項の規定による届出について準用する。この場合において、第二項中「同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内」とあるのは、「厚生労働省令で定める期間内」と読み替えるものとする。
6 第一項から第三項までの規定は、医師が第一項各号に規定する感染症により死亡した者(当該感染症により死亡したと疑われる者を含む。)の死体を検案した場合について準用する。食品衛生法 *2
第五十八条 食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。
2 保健所長は、前項の届出を受けたときその他食中毒患者等が発生していると認めるときは、速やかに都道府県知事等に報告するとともに、政令で定めるところにより、調査しなければならない。
3 都道府県知事等は、前項の規定により保健所長より報告を受けた場合であつて、食中毒患者等が厚生労働省令で定める数以上発生し、又は発生するおそれがあると認めるときその他厚生労働省令で定めるときは、直ちに、厚生労働大臣に報告しなければならない。
4 保健所長は、第二項の規定による調査を行つたときは、政令で定めるところにより、都道府県知事等に報告しなければならない。
5 都道府県知事等は、前項の規定による報告を受けたときは、政令で定めるところにより、厚生労働大臣に報告しなければならない。麻薬及び向精神薬取締法 *3
(医師の届出等) 第五十八条の二 医師は、診察の結果受診者が麻薬中毒者であると診断したときは、すみやかに、その者の氏名、住所、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項をその者の居住地(居住地がないか、又は居住地が明らかでない者については、現在地とする。以下この章において同じ。)の都道府県知事に届け出なければならない。
医師法 *4
第二十一条 医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。
医療法 *5
第八条 臨床研修等修了医師、臨床研修等修了歯科医師又は助産師が診療所又は助産所を開設したときは、開設後十日以内に、診療所又は助産所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。
第九条 病院、診療所又は助産所の開設者が、その病院、診療所又は助産所を廃止したときは、十日以内に、都道府県知事に届け出なければならない。
母体保護法 *6
(届出) 第二十五条 医師又は指定医師は、第三条第一項又は第十四条第一項の規定によつて不妊手術又は人工妊娠中絶を行つた場合は、その月中の手術の結果を取りまとめて翌月十日までに、理由を記して、都道府県知事に届け出なければならない。
*1:https://milsker.atsuhiro-me.net/document/%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%AE%E4%BA%88%E9%98%B2%E5%8F%8A%E3%81%B3%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%AE%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B/410AC0000000114
*2:https://milsker.atsuhiro-me.net/document/%E9%A3%9F%E5%93%81%E8%A1%9B%E7%94%9F%E6%B3%95/322AC0000000233
*3:https://milsker.atsuhiro-me.net/document/%E9%BA%BB%E8%96%AC%E5%8F%8A%E3%81%B3%E5%90%91%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E8%96%AC%E5%8F%96%E7%B7%A0%E6%B3%95/328AC0000000014
*4:https://milsker.atsuhiro-me.net/document/%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E6%B3%95/323AC0000000201
*5:https://milsker.atsuhiro-me.net/document/%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%B3%95/323AC0000000205
*6:https://milsker.atsuhiro-me.net/document/%E6%AF%8D%E4%BD%93%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%B3%95/323AC0100000156