メタボリックシンドロームの診断基準は日本肥満学会(JASSO)基準 (2005年)では以下の4項目がある.
- 腹囲 (必須; 他3項目中2項目以上)
- 男性 > 85cm
- 女性 > 90cm
- 血圧 > 130/85mmHg
- 脂質異常
- 中性脂肪 > 150mg/dL or
- HDL-C > 40mg/dL
- 血糖 > 110mg/dL
概念
「肥満研究」Vol. 17 No. 2 2011<巻頭言>門脇 孝 にこのメタボリックシンドロームの診断基準の理由が書いてある.
メタボリックシンドロームの上流を内臓脂肪蓄積と捉え,腹囲を必須項目とし,それに加え,1)耐糖能異常,2)高中性脂肪血症・低HDL血症,3)高血圧,の3項目のうち2項目以上を満たすものとした.内臓脂肪を減少させる介入により,病態が改善する.
内臓脂肪蓄積が上流にあると理解すれば,後はイメージで思い出せる感じの診断項目になっている.
注意すべきこと
上記の診断基準はいくつか注意して覚えなければならないことがある.
まず,腹囲が必須項目であること.これは,メタボリックシンドロームが内臓脂肪蓄積によって起こる概念であり,内臓脂肪が増加していなければ意味がないからである.ちなみに腹囲はへその高さ (立位臍高位)で測定する.最も内臓脂肪が多い部分を測定しないと意味がないからである.
残りの項目は2項目以上あれば診断となる.これは,内臓脂肪蓄積によって起こる症状だからである.
血圧は140/90 mmHgではなく,130/85 mmHgが基準値である.10/5だけ減らした数字であると理解すれば覚えやすい.
脂質異常症は,TGとHDLを調べる.高LDLではなく低HDLであることに注意する.値は,脂質異常症の基準値と同じ.覚え方はこちら.
空腹時血糖は,126 mg/dLではなく,110 mg/dLである.糖尿病診断基準と照らし合わせると,空腹時血糖異常(IFG)の基準値110 - 126 mg/dLと同じである.
いろいろと覚えるのにややこしいが,関連疾患と対比させると分かりやすい.
*1:糖尿病診断の指針 日本糖尿病学会 より