糸球体腎炎の組織像には,PAS染色・PAM染色・HE染色と3つの染色法があってややこしいですが,原則は以下のようになっています.
- PAS染色 : メサンギウム基質を見る
- PAM染色 : 膜を見る
- HE染色 : 核を見る
これのゴロ合わせは,
メサ(Mesa → S → PAS)ンギウム基質
膜(Membrane → M → PAM)
では,疾患を順に見て行きましょう.糸球体腎炎は以下のように分類します.
- 急性糸球体症候群
- 溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)
- 急速進行性腎炎症候群
- 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)
- 慢性糸球体腎炎
- IgA腎症
- ネフローゼ症候群
- 微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)
- 巣状分節性糸球硬化症(FSGS)
- 膜性糸球体腎炎(MN)
- 膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)
溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)
富核なので,核を見ます.HE染色で観察します.
, 96D36A
急速進行性糸球体腎炎(RPGN)
管外増殖性病変で,半月体形成するので,メサンギウム基質をみます.PAS染色で観察します.
PAS, 99A35
IgA腎症
メサンギウム領域にIgAが沈着するので.メサンギウム基質をみます.PAS染色で観察します.
PAS, 105A46A
微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)
光学顕微鏡では正常ですが,電子顕微鏡では足突起の癒合が見られるので,電子顕微鏡で観察します.
PAS
電子顕微鏡, 100A38B
巣状分節性糸球硬化症(FSGS)
巣状分節性の硬化病変を来すので,PAS染色で観察します.
100F40A
膜性糸球体腎炎(MN)
基底膜でスパイク形成が見られるので,膜を見ます.PAM染色で観察します.
PAM, 106D21A
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)
基底膜の二重化が見られるので,膜を見ます.PAM染色で観察します.
PAS
PAM, 103A42B
こうやって整理すると,系統的な分類であるようにおもいます.