血算の基準値は,厳密な数字はとても覚えられないうえ,施設で差があります.なのでおおまかな基準値の捉え方をまとめておきます.
赤血球
- RBC:男性420~554 ×104/μL,女性384~488 ×104/μL → 400 ×104/μLから,+100まで
- Hb:男性13.8~16.6 g/dL,女性11.3~15.5 g/dL → 男性13, 女性11 g/dLから,+4まで
- Ht:男性40.2~49.4 %,女性34.4~45.6 %→ 男性40, 女性35 %から,+10まで
注意すべきこと
- 貧血の評価はHbで行う.
- 加齢により低下する.
- 妊娠後期で,循環血漿量の増加により,相対的に低下する.
- 脱水があると高値になる.貧血患者に合併すると見落としがち.
- 急性失血の場合はHb の低下が遅れる.
貧血の鑑別
- 平均赤血球容積(mean corpuscular volume; MCV)(fL)
- MCV = Ht×10/RBC , 基準範囲:80~102 fL → 80 から,100まで
- 平均赤血球ヘモグロビン量(mean corpuscular hemoglobin:MCH(pg)
- MCH = Hb×10/RBC , 基準範囲:27~34 pg → 30 から,35まで
- 平均赤血球ヘモグロビン濃度(mean corpuscular
hemoglobin concentration:MCHC)(%)
- MCHC = Hb×100/Ht , 基準範囲:30~36 % → 30 から,35まで
白血球
- WBC : 3500~9000 /μL → 4000 から,9000まで
- 好中球(Neut) : 36~73 % → 60±20 %
- 単球(Mono) : 4~10 % → 10%まで
- リンパ球(Lym) : 19~48 % → 30±10 %
- 好酸球(Eo) : 1~10 % → 1 %
- 好塩基球(Ba) : 0~2 % → 1 %
- 異型リンパ球(Aty-Lym) : 0 % → 存在が異常
好中球(Neut)はリンパ球(Lym)の2倍,単球(Mono)は1割で,ほかは微量というイメージです.ちなみにこの覚え方は,Neut+Lym+Mono=60 %+30 %+10% = 100%ときれいなのです.
どの種類の白血球が変化しているのかを評価します.
血小板
- Plt : 16~39万/μL → 15 万から,40 万まで
あくまでも血小板が減っているなぁと感じる必要があるという基準値で,15万を下回ったからといってすぐには輸血しない.血小板は不足しても出血した時に止血できないだけなので,手術など出血が想定される場合とそうでない場合で対応が異なる.1万/μL以下になるとちょっとの悪化で問題が起こる.血小板輸血の適応は以下のようになっている.
- 5万/μL以上 : 一般に輸血は不要
- 2-5万/μL : 止血困難な場合には輸血
- 1-2万/μL : 輸血が必要となる場合がある
- 1万/μL以下 : 輸血が必要となる
参考文献
- 血小板濃厚液 - 日本赤十字社 [pdf]
- 中山内科学書
- 誰も教えてくれなかった 血算の読み方・考え方