抗核抗体を構成する特異自己抗体はたくさんあり,一度に測定するのは難しいです.そこで自己抗体の一次スクリーニングとして,間接蛍光法による抗核抗体検査を用います.
抗核抗体検査では,ヒト由来の細胞に患者血清中の自己抗体を反応させ,染色されるかどうかと,染色パターンを見ます.代表的なものが5つあります.
- Homogeneous pattern (均質型) : 核が均一に染まる.
- Peripheral pattern (辺縁型) : 核の辺縁が染まる.
- Speckled pattern (斑紋型) : 各内が斑状に染まる.
- Nucleolar pattern (核小体型) : 核小体が染まる.
- discrete speckled pattern (散在斑紋型) : セントロメアが染まる.
考え方ですが,この抗核抗体検査で診断できるわけではないことに注意します.あくまでも,染色パターンから自己免疫性疾患があるかどうかをスクリーニングする方法です.
- Homogeneous pattern (均質型)
- 抗DNA-ヒストン抗体 → 全身性エリテマトーデス, シェーグレン症候群, 強皮症
- Peripheral pattern (辺縁型)
- 抗ds-DNA抗体, 抗ss-DNA抗体 → 全身性エリテマトーデス
- Speckled pattern (斑紋型)
- 抗Sm抗体 → 全身性エリテマトーデス
- 抗U1-RNP抗体 → 混合結合組織病
- 抗トポイソメラーゼ抗体 → 強皮症
- 抗Jo-1抗体 → 多発性筋炎/皮膚筋炎
- 抗SS-A,SS-B抗体 → シェーグレン症候群
- Nucleolar pattern (核小体型)
- 抗核小体抗体 → 強皮症
- discrete speckled pattern (散在斑紋型)
- 抗セントロメア抗体 → 強皮症
つまり,discrete speckled patternが見られたら抗セントロメア抗体の存在が疑われるので強皮症を疑うものの確定診断ではない,と解釈します.
覚え方ですが,HomogeneousとPeripheral patternはDNAが染まっているので,DNA関連の自己抗体つまりSLEを疑います.Speckled patternはいろいろなパターンが有ります.Nucleolarとdiscrete speckled patternは強皮症を疑います.