みーは血液内科医 (みーの医学)

2016年3月に110回医師国家試験に合格し,初期研修を終え,現在は血液内科医として働いています.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboを開発しています.

在宅に興味があるのに途方にくれる家族

とある患者さんが入院しました.病気のため自分では何もできない状態でした.数年間施設で暮らしていたようで,病状の悪化を契機に今後の方針を家族と相談しました.

子供:「施設に預けていると,どうしても疎遠になっちゃって.家から施設まで距離があって,往復するだけでも疲れてしまう.足が遠のくんですよ.親孝行したいと思って,病状が厳しいならば家で最期を過ごしてもらうかなって.」

素晴らしいご意見だと拝聴し,在宅をおすすめしました.往診の医師にお願いし,できる限り自宅で過ごせるように介護サービスを調整する方針としました.

しかし,実際に在宅を始めるとなると,いろいろな問題が出てきます.介護サービスを導入しても,家族の支えがなければ困難です.痰の吸引や排泄ケア,食事の介助など,いくつかの技術を家族に身に付けていただき実践していただかないといけません.

入院中に看護師が家族に日々のケアに関するアドバイスをするのですが,その過程でやっぱり在宅は無理ですと諦める家族がいます.看護師が説明する時に自分の水準を家族に要求してしまう場合があるように思います.家族は一般人ですから,急に完璧なケアをするのは無理ですし,家族自身の生活もあるため,患者さんにつきっきりというわけにもいかないのが現実です.病院でのケアと比較して,ある程度のケアの質の低下は許容する必要があるでしょう.とはいえ,あまりにもケアがおざなりだと,褥瘡や誤嚥などで患者さんを苦しめることになります.

せっかく在宅に興味があるのに,ハードルが高すぎて途方に暮れ,結局は施設を選択することになる家族がいます.こういった家族が減るようにバランスのとれた支援をする必要があると思いました.