何かを証明するための書類を世の中で円滑に利用するためにはどうすればよいか,という実務的な運用方法の1つに,「原本証明」があります.
例えば,法人が作成した定款は,その所有者である法人が原本を保管します.公証役場はその法人が存在しますと証明するために,定款のコピーを保管しますが,その際に,そのコピーが原本と相違がないという証明を付けます.これを「原本証明」と言います.
医療の世界では,免許証(医師免許や麻薬取扱者免許など)は本人が原本を保管しますが,本人を雇う病院も,本当に免許を持った人を雇っているという確認が必要なので,免許証のコピーを保管します.この作業がなければ,無免許医師を排除することができません.医療系の免許証のコピーが原本と相違ないことを証明するための手続きを,「原本照合」と言います *1.
病院で原本照合を行うと,医師が転勤となる度に証明手続きが必要となり煩雑です.そのため,保健所がその作業を行います.
まとめると,「原本照合」とは,医師,保健所,病院が以下の主張をするための手続きです.
医師A:「医師免許証を持っています.」
保健所B:「医師Aは医師免許を持っていて,原本と相違がないコピーがあることを証明します.」
病院C:「医師Aの医師免許と相違がないことを保健所Bが証明するコピーを持っています.」
従って,特別な事情がない限りは,保健所で原本照合を行うのは医師の一生に一度でよいわけです.
なお,みーが最初に勤めた病院は,事務が原本照合を代行申請してくれましたが,別で勤めた病院では,自分で原本照合を申請するように周知していました.代行申請してくれると便利ですが,理解できていないと困ることがあるので,善し悪しだなと思いました.
*1:保健所に電話問い合わせ