みーは血液内科医 (みーの医学)

2016年3月に110回医師国家試験に合格し,初期研修を終え,現在は血液内科医として働いています.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboを開発しています.

クロルフェニラミンマレイン酸塩の頭の「d-」と「dl-」

光学異性体とは,化学構造式が同じでも鏡像関係にあるため,異なる物質のことです.光学異性体を区別するための方法として,RS記法が一般的ですが,生化学では伝統的にDL表記法をよく用いられます.

クロルフェニラミンマレイン酸塩のD体は,H1受容体を介するヒスタミンによるアレルギー性反応を抑制しますが,L体にはそのような作用がありません.

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工夫せずにクロルフェニラミンマレイン酸塩を合成すると,D体とL体が50%づつ存在するラセミ体になるので,D体のみに分離することで有効成分の割合を増やすことができます.

薬として使用する際は少し注意が必要です.例えば,クロダミンシロップ0.05% はラセミ体であり,dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩として,通常成人1回2~6㎎を1日2~4回経口投与します*1.それに対してポララミンシロップ0.04%はD体であり,d-クロルフェニラミンマレイン酸塩として,通常,成人1回2mgを,1日1~4回経口投与します*2.調整幅があるため,厳密に1/2ではないですが,D体の方が投与量が少なく設定されています.

クロルフェニラミンマレイン酸塩を処方する時はラセミ体なのかD体なのかを意識する必要があります.

*1:クロダミンシロップ0.05% 添付文書より引用

*2:ポララミンシロップ0.04%添付文書より引用