みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

死亡診断書と死体検案書の使い分け

使い分け

死亡診断書も死体検案書も医師が死体を検案した時に作成しなければならない公文書ですが,どちらを発行するべきなのでしょうか.

死亡診断書は,診療中の患者が診療中の傷病で死亡した場合に発行します.診療中とは時間の長短を問いませんので,蘇生処置を行えば診療中と解釈します.

死亡診断書は,診療していた患者がその疾患を原因として死亡した場合に発行します.これ以外の場合は死体検案書です.

国家試験の問題で確認しましょう.

103H26

67歳の男性.1時間前からの胸痛を主訴に来院した.意識は清明.呼吸数24/分.脈拍112/分,整.血圧104/68mmHg.心電図胸部誘導ではV2からV6にST上昇,心エコー検査では前壁の壁運動低下,血液検査ではトロポニンTの高値を認めた.診療開始45分後に心室細動となり,二次救命処置を施行したが心拍は再開せず,家族の前で死亡を確認した.
次に行うのはどれか.
a 死亡診断書の作成
b 死体検案書の作成
c 警察署への届出
d 裁判所への届出
e 保健所への届出

心室細動を合併した心筋梗塞に対して二次救命処置をしているので,診察中と解釈します.心筋梗塞で亡くなったと考えられるので,診療中の傷病で死亡したわけですから,継続診療中の内因死として,死亡診断書を作成します.届け出は不要です.

届け出

検案で場合によっては24時間以内に所轄警察署に届け出をしなければならないですが,どのような時に届け出るべきなのでしょうか.

所轄警察署に届出るのは,死体を検案して異状があると認められた場合です.