みーの医学

2016年3月に110回医師国家試験に合格しました.医療従事者のためのWebサービスであるLafLaboの開発者です.

ルーチン検査の意味

臨床推論は,病歴聴取を行い,必要な身体診察を行い,疑われる疾患の鑑別のための基本検査を行うのが一般的です.

しかしながら,「とりあえずルーチンで血液検査しておこうか」という会話は日常診療ではしばしば耳にします.

みーが意味があると感じたルーチン検査をまとめました.

手術の閉創直後のレントゲン

医師が術野を洗浄して異物がないことを確認し,看護師がガーゼカウントを行い数が一致しているという状況で,閉創直後のルーチンのレントゲン撮影で,ガーゼが写っていた症例がありました.ダブルチェックをすり抜けたのは怖いです.

入院時の一般採血

生来健康な70歳男性が,突然発症の腰痛を主訴に来院しました.腰部レントゲン,腰部CT,腰部MRIと画像検査を綿密に行い,腰椎圧迫骨折の診断となりました.生来健康なはずですが,入院時のルーチンの一般採血で,Hb 7の貧血,Cre 2の慢性腎不全,AST 200程度の肝機能異常,HbA1c 8%程度の糖尿病に罹患していることがわかり,整形外科入院のはずが治療内容は内科でした.70歳で健康であることに驚くべきだったのかもしれません.

入院時の胸部レントゲン

生来健康な20歳女性が,1ヶ月以上続く慢性の下痢を主訴に来院しました.病歴からはCrohn病が強く疑われ,入院としました.入院時のルーチンの胸部レントゲンで,両側上肺野に浸潤影があり,念のため陰圧室に隔離しましたが,後日喀痰から結核菌が同定されました.病棟に結核が撒き散らされなかったのは幸いでした.

まとめ

先人が「ルーチンでやっておこう」と思うからには,意味があるわけで,駆け出しの医師がルーチン検査を省くのは怠慢なのかもしれません.

日々コツコツと,やるべきことをやるのが重要なのでしょう.