PKとPDは類似した用語ですが,反対の意味です.
- Pharmacokinetics (PK) : 体が薬に与える影響 → 薬物の吸収・分布・排泄を解析する.
- Pharmacodynamics (PD) : 薬が体に与える影響 → 薬物の副作用や薬効を解析する.
抗菌薬のPK/PDをまとめました.
- 時間依存性
- 血液中の濃度がある値を超えるとその作用が頭打ち.
- 最小発育阻止濃度 (MIC) 以上の濃度を維持する.
- 一日の投与回数は多い方がいい
- 濃度依存性
- 血液中の薬物濃度が高ければ高いほど強い殺菌作用
- 副作用が出ない範囲で一回の投与量を最大にする
- 投与回数は少ない方がいい
- post-antibiotic effect (PAE)
- MICの値より低い濃度になっても抗菌薬の作用が持続する作用
- グラム陽性菌に対してはPAEある
- グラム陰性菌に対してはない
- 濃度依存性の抗菌薬はある
したがって,以下の3つに分類できます.具体的な抗菌薬もまとめます.
- 濃度依存性 +PAE : アミノグリコシド系,キノロン系
- 時間依存性 +PAE : クラリスロマイシン,テトラサイクリン系,バンコマイシン
- 時間依存性 -PAE: ペニシリン系,セフェム系,カルバペネム系
覚え方は,
濃度依存性→「の」依存性→「の」を含む.→ アミノグリコシド系,キノロン系
このゴロ合わせで瞬殺な医師国家試験の過去問を見てみましょう.
104G2
薬物動態と薬力学理論とを考慮して抗菌薬を使う場合,1日投与総量を同じにした際,分割投与よりも単回投与が治療効果をあげるのはどれか.
a キノロン系薬
b ペニシリン系薬
c カルバペネム系薬
d セファロスポリン系薬
e テトラサイクリン系薬
「の」がついている「a キノロン系薬」が答えとなります.