少し前に一般の人もAEDを使用できるようになり,AEDはかなり普及しています.AEDを正しく使用するために,呼吸じゃないんだけど呼吸みたいに見える現象「死戦期呼吸」が存在することを,今まで以上に多くの人が知らなければいけない時代になってきました.
死戦期呼吸とは
死戦期呼吸とは,死の間際に現れる顎を大きく使った呼吸のことです.下顎の大きな動きから下顎呼吸ともよばれます.
呼吸じゃないんだけど呼吸みたいに見える
死戦期呼吸は正常の呼吸とは違い,顎が動いているだけで肺での酸素化ができていません.したがって呼吸をしていない傷病者と同様に処置する必要があります.
どうやって見分けるのか?
百聞は一見に如かず,YouTubeの本物の動画を貼ります.
オーストラリアにあるBondi Beach のレスキュー隊が,海で心停止になった人の蘇生をしている動画です.AEDによる蘇生の合間に,死戦期呼吸を見ることができます.2:30あたりを見てください.
Agonal Gasps - Bondi Beach Rescue - YouTube
一見呼吸をしているように見えますが,顎を大きく使っているわりには,胸が動いていないですね.死戦期呼吸とわかります.
AEDがあるのに使わなかった事件
2011年に,さいたま市小学校の小6女子児童が1000メートルの長距離走練習でゴールしてから突然倒れた際,学校はAEDを備えていたにも関わらず使用しないまま11分救急搬送を待ち,翌日死亡させてしまった事故がありました.
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2012/09/0927.htmlwww.nhk.or.jp
教員が死戦期呼吸を見て,呼吸していると判断したために,心肺蘇生の適応はないと考え,到着を待っていたようです.
一般の人の知識で死戦期呼吸を見抜くのは非常に難しいです.残念な事件ではありますが,教員に責任があるとは言えないでしょう.この事件の教訓を活かすべく,現在は目の前で人が倒れれたら,積極的に心肺蘇生を行いましょうということになっています.
先ほどの動画では,死戦期呼吸と判断して胸骨圧迫とAED使用を流れるように行った結果,無事に意識が戻りました.
まとめ
医療従事者は死戦期呼吸を見抜き適切に対応する必要がありますが,一般の人もこの動画を1度見ておけば印象に残ると思うので,将来役に立つかもしれません.