発熱性好中球減少症で状態が悪化した患者さんに,いつものように抗生剤を点滴投与していました.
患者:「先生,点滴外してください.」
みー:「どうしてですか?」
患者:「点滴が始まると必ず体調が悪くなるからです.これがなければ体調が良くなると思うのです.前もそうでした.」
みー:「そうではなくて,体調が悪いから点滴しています.良くなれば終了します.」
患者さんの立場からは点滴が悪者に見えることもあるのですね.因果関係についての説明をすることで,理解を得ました.その後,好中球は無事に回復し,点滴を終了し,元気になりました.
さて,病気になってから対応する,という因果関係は医療の世界でありふれています.エボラ出血熱では,こんなことが報告されています.
エボラ大流行、治療に現地民の壁 医師団は襲撃被害も
ブテンボの治療センターを武装した男たちが襲撃した。施設を守ろうとした警察官が殺され、保健スタッフも数人負傷した。そこからほど近い町、カトワにある国境なき医師団の治療センターが2月26日に放火されてから、1カ月もたっていない。このときは保健スタッフ1人が死亡し、もう1人が負傷したため、国境なき医師団は活動を中断した。
エボラ出血熱が流行しているコンゴ民主共和国で,外からやってきた医師らが襲われたそうです.献身的に治療されている医療従事者は立派だと思いますが,やはり病気が流行してからやってきた外部の人がいれば,一部の現地の人は彼らが原因だと排除しようとするのでしょう.
日本ならばコミュニケーションが比較的簡単なので,説明すれば理解を得られますが,コミュニケーションの壁がある場合は,理解を得るのはかなり難しいと思います.